尿酸の正常値(基準値)と高い場合の原因と病気
カテゴリ:尿酸代謝
尿酸はプリン体の代謝によって生成される痛風の原因物質
尿酸はプリン体の代謝(プリン代謝)によって生成される、酸化最終生成物であり、痛風の原因物質です。
長期にわたって高値が続くと、尿酸が体内に蓄積して結晶化し、足の関節等に痛みを生じ、腎結石や動脈硬化の原因物質にもなります。
尿酸は抗酸化物質として活性酸素から守ってくれる
進化の過程で尿酸はビタミンCと大きく関係しています。
ビタミンC不足は壊血病を引き起こす事が知られているように、人体にとっては必要な物質(アスコルビン酸)です。
そのため、かつて(約6300万年前)はサルなどの霊長類はビタミンCの合成能力を備えていました。
しかし、人間は進化の過程でその能力を失い、抗酸化物質としてビタミンCの代わりに尿酸を使用するようになりました。
このため、尿酸は人体にとって大切な物質です。
しかし、その反面、尿酸を分解する尿酸オキシダーゼ活性能力は必要なくなり、人間は尿酸をより無害なアラントイン(Allantoin)に分解する能力を失ったのです。
痛風とは
尿酸は近位尿細管で多く(約80%)が尿中から回収され、血液中では尿酸濃度は通常 3.6~8.3 mg/dL です。
しかし、尿酸は溶解度が低いために、血中の尿酸の濃度が高く飽和状態になると、特に関節などの低体温箇所で結晶化しやすく、関節包内などに付着する事で痛風を引き起こします。
特に血中の尿酸濃度が 7.0 mg/dL を超えた場合、血液に溶けきれずに結晶化が起こります。
プリン体とは
プリン体(プリン塩基)はDNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)などの核酸成分であり、主に白子や干物、レバーなどの魚卵や魚介類、ホルモン類に多く含まれます。
プリン体が多ければそれだけ多くの尿酸が生成される事になり、尿酸濃度が高まります。
プリン体の多い食品
プリン体の多い食品としては以下が挙げられます。
- レバー(284mg/100g)
- 白子(300mg/100g)
- 干物(300mg/100g)
- 大正エビ(273mg/100g)
- マイワシ(210mg/100g)
- カツオ(210mg/100g)
プリン体の少ない食品
プリン体の少ない食品としては以下が挙げられます。
- 野菜
- 海藻
- 乳製品
- 鶏卵
- パン
- うどん
- そば
- 果物
活性酸素と尿酸
活性酸素と尿酸は互いを打ち消し合う特徴があり、尿酸は強力な抗酸化物質であり、活性酸素から身体を守っているという側面もあるため、一定量は必要です。
例えば過剰な運動や飲酒により大量の活性酸素が発生した場合、尿酸は活性酸素から身体を守り、結果として癌などの活性酸素に起因する病気の発生を抑制してくれます。
しかし尿酸が多すぎると、上述したように痛風などの病気を引き起こします。
従って、尿酸は少なすぎても多すぎても身体に悪影響を与える物質であり、バランスを保つことが大切です。
正常値(基準値)
2.1?7.0 mg/dL
男性:3.1~7.0 ml/dL
女性:2.2~5.4 ml/dL
この検査で分かる病気
高い場合
- 痛風
- 痛風腎
低い場合
- 腎性低尿酸血症
公開日時: 2014年08月26日 00:13:32