胃部X線撮影で分かる病気と見え方
カテゴリ:消化器系(上部消化管)
X線撮影とは
胃部X線撮影とは
胃のX線撮影には東芝の『胃・胸部集検用デジタルX線システム』などのデジタルX線装置が使用されます。
胃のX線写真を撮影するためには、まずバリウム(造影剤)と発泡剤(炭酸)を飲みます。
バリウムは金属の一種であるためX線を多く吸収(X線を通さない)します。
従ってX線が通らなかった箇所は白く撮影されるため、胃壁に塗られれば凹凸が分かり易くなります。
また、発泡剤は胃壁の状態をよく見るために胃を膨らませるために使用します。
この時、胃が膨らむのでゲップが出そうになりますがゲップをしてはいけません。
ゲップをするとせっかく膨らませた胃が縮み、胃の粘膜の様子が分かりにくくなります。
この検査で分かる病気とX線写真の見え方
胃潰瘍
胃壁の線維化によ硬化が見られる事があります。
十二指腸潰瘍
十二指腸は胃と小腸をつなぐ消化管ですが、この十二指腸の入り口である球部の壁に変形が見られます。
胃癌
良性の潰瘍面は均一ですが、悪性潰瘍の場合不均一であったり、陥凹と呼ばれる大きな凹みや、大きな隆起(突出)が見られます。
窪みにはバリウムが溜まり(ニッシュ)、X線写真ではそこが白く写ります。
胃のポリープ
一般的に胃壁の一部が隆起したものをポリープと呼びます。
胃底腺ポリープと呼ばれる無茎性のものや、胃腺窩上皮過形成性ポリープと呼ばれるキノコ状のものなどが一般的です。
なお、X線写真のみでは良性か悪性かの正確な判断はできません。
胃炎
胃壁の表面に炎症が起きた状態です。
X線写真では凹凸や、顆粒様の粘膜が見えたり、ぼんやりとした粗い粘膜が見えます。
複数のポリープが見つかった場合
健診結果に「胃部ポリープ複数」と記載されている事がありますが、大抵の場合、年1回の検査や経過観察となっています。
これは胃部のポリープ自体は珍しいものではなく、大腸のポリープ等と比べて癌化する可能性は低いからです。
特に「胃底腺ポリープ」はピロリ菌に感染していない30?40歳に多く、癌化することは滅多にありません。
そのため「胃に複数のポリープ!」と驚くことも怖がることもありません。
但し、頻繁に胃炎を繰り返す場合など、胃の状態に異変がある場合は、放って置かずに受診しましょう。
また、ヘリコバクターピロリ菌(ピロリ菌)が陽性の場合はリスクが高まるため、特に注意しましょう。
公開日時: 2014年04月15日 23:26:43