血圧の正常値(基準値)と高い場合の原因と病気
カテゴリ:血圧
血圧とは
血圧は血管中の血液の圧力を示します。
血圧の単位はmmHg(水銀柱ミリメートル)で表します。
水銀柱は、「標準大気圧は約760mmの水銀柱を支えることができる」という定義を基にした単位です。
これは、昔は血圧を水銀血圧計で測定していた事の名残です。現在主流なのはオシロメトリック法の電子血圧計です。
※水銀血圧計は現在も販売されていますが、世界保健機関(WHO)は2020年までに水銀を使った血圧計、体温計の廃止を目指しています。
なお単位は将来的にはPa(パスカル)に置き換えられる予定です。
※1mmHgは約133.322 368Pa
収縮期血圧と拡張期血圧とは
心臓は血液を送り出すポンプであるため、常に収縮と拡張を繰り返しています。
そのため、血圧には収縮期血圧、拡張期血圧の分類があります。
心臓が最も収縮した状態、つまり血液を外に押し出した状態では血管の血液量が増加し血圧が上昇します。
また心臓が最も拡張した状態、つまり心臓が血液を取り込んだ状態では血管の血液量は減少し血圧は低下します。
つまり心臓の心拍に合わせて血圧は常に変動するため、血圧測定にはこの収縮期血圧と拡張期血圧の両方を測定する必要があるのです。
上述したように、心臓が血液を全身に送り出すために収縮した状態の血圧を収縮期血圧、もしくは最高血圧、上の血圧と呼びます。
逆に、心臓が血液を溜めている状態の血圧を拡張期血圧、もしくは最低血圧、下の血圧と呼びます。
収縮期血圧と拡張期血圧の正常高値血圧は以下となります。
正常高値血圧:
- 収縮期血圧(最高血圧):140mmHg未満
- 拡張期血圧(最低血圧):90mmHg未満
血圧の測定方法
血圧の測定は、自動血圧計(電子血圧計)のカフ(カフス)をできるだけ心臓に近い、左上の上部(上腕)に巻きつけ、カフに圧力をかけ(加圧)、そして圧力を抜きます(減圧)。
加圧することで動脈が閉塞され、その状態から徐々に減圧すると、動脈が少し開いて血液が流れ出しますが、その際の脈波を基に血圧を測定します。
脈波はカフで圧迫された血管が心臓の拍動に合わせて起こす振動であり、ある程度まで減圧されると振動が無くなります。
振動が始まった際の血圧が最高血圧(収縮期血圧)、振動が終わる直前の血圧が最低血圧(拡張期血圧)になります。
※昔は振動ではなく、聴診器で血液がトクトクと流れる音を聞き、測定していました。この音の事を発見者の名にちなんでコロトコフ音と言います。
適正な血圧の測定方法
適正な血圧の測定のためには、できるだけ安静時の血圧を測定します。
運動中や運動直後、極度の緊張状態では、通常時よりも心拍数が上がりますが、これは心臓が血液を全身に行き渡らせるために、通常よりも勢い良く多くの血液を送り出している状態であり、血圧が高くなります。
逆にしばらく安静にしている場合やリラックスした状態では、心拍数が下がり、血液を緩やかに送り出しているため、血圧は低くなります。
健康診断では、普段家庭にいる場合に比べて、緊張状態になる人もいるため、正確な血圧が測定出来ない場合もあります。
また、朝と夜でも血圧は異なるため、より正確な血圧を知るには、家で数日間、朝と夜の両方で血圧を測り、その平均値を確認する、あるいは医師に提示する必要があります。
正常値(基準値)
健康診断における血圧の正常範囲は以下となります。
- 最高血圧:120~129mmHg
- 最低血圧:80~84mmHg
なお、高血圧、低血圧のガイドラインは以下のとおりです。(単位:mmHg)
分類 | 収縮期血圧(上の血圧) | 拡張期血圧(下の血圧) | |
---|---|---|---|
低血圧 | 90より低い | 且つ | 60より低い |
至適血圧 | 120より低い | 且つ | 80より低い |
正常血圧 | 120~129 | 且つ | 80~84 |
正常高値血圧 | 130~139 | 又は | 85~89 |
軽度高血圧 | 140~159 | 又は | 90~99 |
中等度高血圧 | 160~179 | 又は | 100~109 |
重度高血圧 | 180以上 | 又は | 110以上 |
孤立性収縮期高血圧 | 140以上 | 且つ | 90より低い |
2014/04/05 追記
血圧の正常範囲について、人間ドック学会は、上の値は147まで、下の値は94まで緩和すべきであると発表しました。
正常範囲外の場合に気をつける病気もしくは症状
高い場合
高血圧の場合、主に以下の病気に気をつける必要があります。
- 脳血管障害
- 脳梗塞
- 脳出血
- くも膜下出血
- 心疾患
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 心不全
- 心肥大
- 腎疾患
- 慢性腎臓病(CKD)
- 血管疾患
- 大動脈瘤
- 動脈硬化性末梢動脈閉塞症
低い場合
低血圧の場合は、主に以下の症状が現れる場合があります。
- 頭痛
- めまい
- 全身倦怠感
- 片頭痛
- 不眠
- 食欲不振
公開日時: 2014年03月17日 23:59:26